人の意を酌む
私は今年で96歳となる。年男であり、十二支を8度回した丙寅の生まれである。
「丙は大きな火」つまり太陽を表す。性質は、存在感があり華やかさがある。また、天性の人懐っこさを持っており、天真爛漫さに周囲の人も思わず笑顔になってしまう人も多い。更に「一度決めたら絶対にやり遂げるという強い意志を持っているため、仕事や勉強では成功することが多い」と言われている。
振り返ってみると、70年前に会社を興し、成長させるとともに業界を牽引してきた。自分なりの自負がある。大きな目標を人に語ることにより自分を律し、その実現のために努力してきた。そして私の回りには常に人がおり、協力者がいた。社長を初め、多くの社員、全国の取引先、関係者の方々、そして最大の支援者であり理解者の妻である。
運転について私は今まで事故を起こしたことはない。「絶対に事故を起こさない」そう思って運転をしてきた。私だけでなく、誰もが運転に集中し、常に注意や先のことを予測すれば、事故は防ぐことができる。
話は大きくなっていると思われるかも知れないが、令和4年1月16日をもって私は車の運転免許を返上する。
それは、回りにいる大切な皆の慮る心に応えるためである。「大切な人だから運転を止めてほしい」「ずっと元気でいてほしいと思っているから」などと言葉を幾度となくもらった。その配慮と愛情に感謝するために返上する。また、会社の代表者の一人としての立場もある。
もう一つの丙寅の性質として「相手が望むことを感じ取る感受性にも長けている」と言われている。私は皆の「意を酌む」ことを大切にしたい。